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2014-08-21 (Thu)
もう10年以上日本のボーダーコリーに発症しているNCL。
この病気については、鹿児島大学の大和教授がずっと研究をしてくださっていますが、発症した子達のデータから見える結果をまとめられた論文が、2012年のThe Scientific World Journalに掲載されています。
こちらはオープンアクセス・完全無料ですので、どなたでも見ることができます。

英語です。

・・・(;^_^A

英語ペラペラの方はもちろん、ペラペラでない方も、最近はマウスを置くだけで単語を翻訳してくれる機能なんかもあるので、まずは見てくださいね。

それから、獣医さんがこのブログを見ているとは思いませんが、
現在でもこの病気を発症して苦しんでいる子がいること、
今までにもCL症とわからずに亡くなっている子がいるであろうこと、
これからも身近での発症があり得ること、を考えると、
飼い主さんだけでなく獣医さん達にも是非目を通していただきたいと思います。


Neuronal Ceroid Lipofuscinosis in Border Collie Dogs in Japan: Clinical and Molecular Epidemiological Study (2000–2011)

※大和先生から、この論文の拡散については承諾をいただいています。




| CL症 | COM(5) |
2014-07-30 (Wed)
 先日、NCL発症が確認されたアノンちゃんですが、
2012年4月14日にオス4頭メス2頭の、6頭兄弟として生まれています。
アノンちゃんが発症したということは、両親犬はどちらもキャリアと考えられます。

キャリアとキャリアの交配で生まれる子達は、
4分の1がクリア
4分の1がアフェクテッド(発症)
2分の1がキャリア 
の確率で両親犬から遺伝子を受け継ぎます。

キャリア×アフェクテッドの交配でも発症犬は出ますが、
両親犬がどちらも4歳ということなので、キャリアと考えるのが自然でしょう。

確率からすると、もしかしたらアノンちゃんのほかにもう1頭、アフェクテッドの子がいるのかもしれません。
そして、間違いなくキャリアの子が存在します。


ここで間違えないでほしいのは、
キャリアというのは、その個体にはなんの心配もないものだということです。
その子の為には「キャリアだ、どうしよう」と心配する必要もないし、
「キャリアだなんて可哀想」と嘆く必要もありません。

繁殖に使わない限り、キャリアであることはなんの意味も持ちません。
(もし繁殖に使うとしても、相手がクリアであれば子供たちはクリアかキャリアです。
キャリア×クリアでは、アフェクテッド(発症)は出ません。)



心配しなければならないのは、
検査を受けず・結果を知らずにキャリア同士を繁殖に使ってしまうことです。
「キャリアを繁殖に使う」ことに関しては、血統書公開と同様意見の分かれるところですが、キャリア同士の交配は絶対に避けなければなりません。
その結果、今回と同じことが繰り返されてしまいます。
これからアノンちゃんの兄弟達が、繁殖に使われないとは言い切れません。


今、アノンちゃんのお父さんが、アノンちゃんの兄弟を探しています。

アノンちゃんは、2012年4月14日 岩見沢生まれです。
そして、同じ両親犬の交配で、2012年12月16日にもオス3頭が生まれています。
ほとんどは北海道内のペットショップに居たのではないかということです。


アノンちゃんの次の世代に再びこのようなことが起こらないように、
ここでこのラインの(枝分かれしてしまった中のたった1本のラインですが)発症が止まることを願ってやみません。




※「キャリアを繁殖に使う」に、何故意見が分かれるかはこちらをご覧ください。
→ 2010年11月の記事「発症犬を出さないために」
| CL症 | COM(6) |
2014-07-26 (Sat)
 今まで何度も取り上げてきたCL症ですが、
最近になってボーダーコリーと暮らし始めた方、今までCL症という病気にあまり馴染みのなかった方たちに、この病気を理解してもらうために記事を書くことにしました。
できるだけわかりやすく簡単に、要点をまとめたいと思います。

簡単にと言いながら前置きさせてもらいますが、
CL症は、あっという間に根絶できる病気です。
繁殖に気をつければCLを発症する犬を生みだすことはありません。


日本でボーダーコリーの発症が確認されてから、もう10年以上が経ちます。
日本で検査が受けられるようになってからは8年です。
なのになぜ、今でも発症する子が生まれているのか。
この点を考える手助けになるといいなと思います。





【CL症は遺伝病】

単一遺伝病(メンデル遺伝病とも言う)であり、常染色体劣性遺伝という形で受け継がれます。
環境要因には左右されません。


【CL症はボーダーコリー特有の病気か】

違います。
日本で最初に発症例が見つかったのはチワワで、ほかにジャックラッセルテリア、サルーキにも見つかっています。


【遺伝子検査の結果を理解する】

検査結果はクリア、キャリア、アフェクテッドの三つに分かれます。
クリアは、その遺伝子を持っておらず、
キャリアは、持っていますが表に出ることはありません、保因するのみです。
アフェクテッドが、発症です。
キャリア犬が発症することはありません。


【発症犬(アフェクテッド)はどうして出るのか】

キャリア×キャリア、つまりキャリア犬同士の交配によって出ます。
しかし、生まれた子達全員がアフェクテッドではありません。

クリアを○○、キャリアを○●、アフェクテッドを●●、と考えてみてください。

4分の1の確率で発症する(アフェクテッド)子が生まれ、
4分の1の確率で変異遺伝子を持たない(クリア)子が生まれます。
残りの2分の1がキャリアとなります。
つまり4頭で生まれた場合、1頭が発症、1頭がクリア、2頭がキャリアになる確率です。

キャリア×キャリア以外にもアフェクテッドが出る図式があります。
発症犬(アフェクテッド)を交配に使った場合です。
交配相手がキャリアでもクリアでも、生まれた子はキャリアかアフェクテッドです。

発症犬が使われるなんて~と思う方もいるかもしれませんが、
CL症の症状が出る(概ね1歳の誕生日を過ぎてから)以前に交配に使われることがあります。
症状は出てなくても、その遺伝子を持って生まれてきてるので、それまでクリアだっったのが途中でアフェクテッドになったり、キャリアになったりということはありません。


【キャリア×クリアの交配では?】

半分がキャリア、半分がクリアになります。
また、アフェクテッド×クリアでは、生まれる子すべてがキャリアです。


【どうしたら発症犬を出さずにすむか】

クリア×クリア、クリア×キャリアの交配では、クリアとキャリアしか出ません。
キャリア同士の交配、それと、アフェクテッドを交配に使うことを避ければ、発症するボーダーコリーはいなくなります。


【その為にはどうしたらいいのか】

遺伝子検査を受け、繁殖に使う子の結果を確認してから交配を考えるべきです。
また、その子の両親犬が間違いなく検査を受けているのなら、その子の結果もほぼ推測できます。
「多分大丈夫」は、大丈夫じゃありません。
全く意味を成さない思い込みです。

2006年から日本国内で、口腔内の唾液、または血液でCLの遺伝病検査ができます。
現在ではJBCHN(ジャパンボーダーコリーヘルスネットワーク)を通じてCL症研究者大和先生の他に、IDIDA JAPANやバイオス、カホテクノなど民間の検査機関でも行なっています。


【それ以外にできることは?】

ここからは私見になりますが、
検査は繁殖する前に行うべきなのに、現在流通しているボーダーコリーの多くは、未だに検査を行わずにお金の為に繁殖されています。
日本のボーダーコリー全体のこれからを考えて繁殖をしている人は、ごくごくわずかです。

何故、何も考えずに産ませるのか。
売れるからです。
なんでもいいから目の前にいるボーダーコリーに産ませれば売れる。
ブリーダーというには程遠い、“犬や”が繁殖をしています。

ある犬種のブームが起きれば、ブームが過ぎ去るうちにその犬種をどんどん産ませます。
求める側がいなければ、お金にならない繁殖は廃れます。


【CL症は根絶できる】

遺伝子検査ができるようになって、日本のボーダーに関してはCL症のファミリーツリーが形になっています。
しかし、遺伝病に無知・無関心な繁殖をする側と求める側が減らない限り、ツリーは成長していきます。
CL症は、出ると思ったところに出る。
予測ができます。
親から受け継いだ遺伝子がわかるのですから、受け継がせないようにすることもできるのです。







以上、CLの発症犬を出さないためのベースになるものをと思ってあげてみました。



今回は、「NCLの発症犬を出さないために」だけに絞って書いてみましたが、
他にもたくさんある遺伝病を考えると、単純にこれだけを考えて繁殖OKとするのは間違いです。

CL症が、TNSやCEA、PRAなど他の遺伝病に比べて注目されたので、
とりあえずCLの検査だけを受けて、「うちの子はCLクリアなので大丈夫です!」という繁殖家もいます。
大変浅はかで愚かしい、無知としか言いようがありません。

注) TNS・・・捕捉好中球症候群
    CEA・・・コリーアイ異常
    PRA・・・進行性網膜委縮



CL症及び遺伝病については カテゴリーCL症にまとめてあります。
わかりやすい、とは言い難いのですが、時間のある時にお読みいただければ嬉しいです。

また、JBCHNのHPにはボーダーコリーの遺伝病について医学的にも詳しく書かれており、CL症を正しく理解するために是非目を通していただきたいと思います。






| CL症 | COM(5) |
2013-02-06 (Wed)
 犬と生活して13年ほど。
この間、犬たちを取り巻く環境は変わり続けている。
そのひとつに、ペットショップで犬を買うのが当たり前だったのに、“ブリーダー”から直接買うという手段があることに人々が気づきはじめたことがある。
ショップの存在の是非を問う声も、ほんのわずかであっても聞こえてくる。
大きな変化の為の小さな一歩、と言える程度でも、進歩であるのは間違いないと思う。

ところが、「ブリーダーのところで買ったの」と聞いて、
更に話を聞いていると、違和感を覚えることがとても多い。

ブリーダー。ってのの、意味が人によって違うんだな。。

「ショップで買わずにブリーダーのもとで買う」ことが、「ショップを通すのが悪い」というだけの問題に捉えられてる気がする。
たまに「わざわざ行って」とかついたりしてね。(←このヘン、心が荒んでるのがおわかり?^^;)
そのブリーダーって、ショップに卸してる人じゃない?
それも大量に、何犬種も、とか。
ショップに卸してなくても、その人どんな繁殖をしてる?
そこの繁殖犬は、どんな生活をしてる?


とかあれこれ、気になることを一度書きたいなと思っていたのだけど、なーんか難しくてあとまわしにしてた。


JBCHNが、今年の1月からDNAテストを休止している。
理由はそちらのHPで確認してほしいんですが、
つまり、科学的な検査が役に立たなくなるくらい(いや、その人たちにとっては役に立つのだけど)、愚かな行為をする人間がいるというわけ。
これは今に始まったことじゃなくて、それでもがんばって活動を続けてくれてたのだけど、
ボーダーを始め犬たちの為になるんじゃないかと考えられる検査を、こういう形で妨害されるなんて。
とどのつまり、血統書ってどうよ、JKCってどちら様?ってなっちゃうじゃないの。


もう、がっかり。



| CL症 | COM(6) |
2011-07-09 (Sat)
 6月からJBCHNを通じ、国内でもTNSの検査ができるようになった。
申込方法やサンプルの採取法などは すべてCL症の遺伝子検査と同じ。

私の場合は 
・6月9日に検査希望をメールで申し込み
・同日 JBCHNから申込書など詳細についてメールで返事が届き
・13日 検査料金、必要書類等送付
・16日 検査キット到着
・21日 サンプル採取後すぐに送付
・7月4日 検査結果到着 


グレースTNS検査結果証明書


 2歳の時に 純血種の交配について私自身無知なままグレースに出産をさせた。
11歳の今、この検査を受けることにどれだけ意味があるかはわからない。
今になってわざわざお金をかけてしなくても、という意見もあるだろうし、一般家庭で、それも一度の繁殖のためにそんなことしなくても、と思う人もいるかもしれない。

私の中では しなければいけないことをしないで来た、そのままにはしたくなかった。

それとは別に、外に対して伝えたい気持ちがあった。
TNSはCL症より認知度は低いにもかかわらず、キャリアの数はCLよりも多いと考えられている。
また、「CL症はショードッグの病気だからうちの子は関係ない」とされる向きがあるが、TNSはショードッグ・ワーキングドッグの別に関わらず、キャリアが存在しているという。
(実際日本の場合は、ショードッグかどうかでCLの心配があるかを分けることは意味がないように思える。見た目はショードッグとかけ離れても、何代か前にはその血にたどりつく子がほとんどだし、何代前であろうとキャリアは受け継がれる。)

当初TNSはオーストラリアのラインにのみ生じるものと考えられていましたが、2005年からの調査により、少なくとも40年以上前から各地のボーダーコリーに発生していたと考えられ、現在では、ボーダーコリー全体の5%~10%がTNSの欠陥遺伝子のキャリアと推定されています。
 オーストラリア・ニュージーランド・イギリスを始め世界のワーキングドッグ、ショードッグにTNSのキャリアが存在しています。キャリアの頻度数はCLより高いと考えられます。

         (JBCHN HP内の「海外からの報告例」より転載) 

CL症と同じ致死性の遺伝病でありながら、
ほとんどの場合CL症よりも発症月齢が低いことから、TNSと診断されることは難しいだろう。
「生まれつき身体が弱かった(虚弱)」「育たなかった」「たまたま弱い子もいたんだね」などと言われてお終いとなる子が多いのではないか。

TNS~遺伝性好中球減少症 という名前からして難しそうで、拒絶反応を起こしがち。
気持ちの中に、遺伝病のことなんて考えたくないって思う部分もきっとみんな持ってる。

それでも交配前に必要な検査はするべきだし、面倒だからと避けてはいけない。

「検査を受けることが普通」。
それが当たり前になってほしい。
検査は受けられること、受けてる犬がいることを 知ってもらいたい。

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 ボーダーコリーの遺伝性疾患については、
神戸ボーダーコリークラブさんの「遺伝性疾患」にも詳しく書かれています。
(こちらのサイト、まだ見たことのないボーダー飼いさんには是非目を通していただきたい。
ボーダーと暮らす時に知ってほしいこと、考えてほしいことがたくさん載っています。
ボーダーコリーについて私たちが持つ憧れ、溢れる愛しさ―――
William Henry Ogilvieが詠んだAuld Kepの詩は、何度読んでもぐっときます。)



~JBCHN及びKOBE BORDER COLLIE CLUBさんの許可を得て転載、リンクさせていただきました~
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